2011年06月27日
露

雨上がりの路傍に露が降りていました。
露と言えば、伊勢物語の第六段。
********
男(在原業平=ありわらのなりひら)が、なかなか手の届かない女性に恋し、
長年かかってようやく連れ出すことに成功し、追っ手を振りきるために
女性を背に担いで逃げていきました。
その途中で、女性が背中から業平に言うのです。
「あの草の上の光り輝くものはな~に?」
本物の露を見たこともない、深窓の令嬢だったわけです。
言葉としては知っていたのでしょうけれども……。
業平は返事もせず先を急ぎます。
夜更けになって、雷が鳴り始めます。雨もたいそう激しくなりました。
そこで、誰もいないお屋敷の蔵の中に女を隠して
自分は蔵の前で武器を構えて追っ手に備えました。
ところがその蔵には、鬼が巣食っていて、夜明け方
女を一口に食ってしまいました。
女も「あれ~っ!業平様助けて~!」と叫んだのですが、
なにしろ激しい雷と雨の音で聞こえなかったのです。
夜が明けて、これで一安心と、業平は蔵を空けます。
ところがようやく連れてきたはずの女はいません。
地団駄を踏んで悔しがりましたが、もう、
どうすることもできませんでした。
白玉か何ぞと人の問ひしとき 露と答へて消えなましものを
「あれは白玉ですか、それとも他の何かですか」と
かわいいあの人が尋ねた時に
「あれが露というものだよ」と教えてあげて
露がはかなく消えてしまうように、
あの娘といっしょに消えてしまえばよかった……。
これは今となっては二条の后(天皇の奥様)となった女性が
もちろん、まだ、普通の身分でいらした時に、
その親衛隊長を仰せつかった業平が、
あまりにも美しいご主人様に恋をして
駆け落ちをしたのです。
ところが、この騒ぎのとき
お兄さん達の、堀河の大臣、太郎国経の大納言たちが、
もちろんその当時は、こちらもまだ、普通の人でしたので、
自由もきいていましたから、追っ手を編成して
市中くまなく探索し、蔵の中で泣いていた妹を発見して
連れ返すことに成功したのでした。
それをおはなしの中では「鬼」と言ったのです。
二条の后もあまりにも若い頃のことでしたので
許してあげてくださいね。
********
当時、業平は40歳目前、二条の后は10歳とちょっと
世間知らずの深窓の令嬢と恋に陥った美しいお話しです。
ちなみに業平は『在原』氏、二条の后は『藤原』氏ですので
そこはロミオとジュリエットの世界、
永遠に結ばれることのないシチュエーションです。
また、お兄様方にして見れば、将来、天皇の嫁として
入内(じゅだい)させるための大切な妹です。
言葉を換えれば、政争のための大切な兵器です。
お兄さん達は、必死になってこの恋を阻止しようとしました。
ひょっとすると、没落貴族である業平から見れば、
藤原氏一門の野望を砕くための、
やむにやまれぬ抵抗だったのかもしれません。
さて、植物は、
ナデシコ属 ハコベ科 ハコベ

花は、早春ですので
ハードディスクの底から見つけてきました。
2月の撮影になっています。
またもや、
写真は本文とは関係ありませんの状態ですね。
妄想の世界に入っちゃいました……(*^.^*)
Posted by チャーリー at 10:02│Comments(6)
│奄美の草花
この記事へのコメント
白玉の梅雨の話は・・ここからきてるんですネ
昔話の恋の話は
いつの世も女性は悲しいですネ・・
結ばれない恋に・・・・・悩み・・
系図の道具にされたり・・・・・
昔話の恋の話は
いつの世も女性は悲しいですネ・・
結ばれない恋に・・・・・悩み・・
系図の道具にされたり・・・・・
Posted by 響
at 2011年06月27日 22:53

響さん こんばんは
現代では、イクメンとかいう言葉もあるように
だいぶ、お互いを尊重するようになってきたのではないでしょうか。
純平も、「いっしょに……」って言ってましたから。
現代では、イクメンとかいう言葉もあるように
だいぶ、お互いを尊重するようになってきたのではないでしょうか。
純平も、「いっしょに……」って言ってましたから。
Posted by チャーリー at 2011年06月27日 23:50
本領発揮 と言う所ですねぇ~!!
楽しめます この路線は大好きですよ(笑
楽しめます この路線は大好きですよ(笑
Posted by amamian3 at 2011年06月28日 06:10
amamian3 さん おはようございます
この路線ですか?
シリーズ化させようともくろんでいますね。
う~ん、ネタが続くかなぁ……(x。x)゜゜
この路線ですか?
シリーズ化させようともくろんでいますね。
う~ん、ネタが続くかなぁ……(x。x)゜゜
Posted by チャーリー at 2011年06月28日 08:24
実は 私もこの路線の(も)ファンです。楽しく読ませてもらってます。
自然の色だったり、小さな被写体だったり、雄大な景色だったり、 すごく心をひかれてシャッターを切るのに、全然思うように感動を表現できず、人間の眼に勝るものはないなと常々思っているのですが、チャーリーさんは いつも そんなポイントを 見事に写真にしてくれます。
自然の色だったり、小さな被写体だったり、雄大な景色だったり、 すごく心をひかれてシャッターを切るのに、全然思うように感動を表現できず、人間の眼に勝るものはないなと常々思っているのですが、チャーリーさんは いつも そんなポイントを 見事に写真にしてくれます。
Posted by CA at 2011年06月28日 12:41
CA さん こんばんは
人間の目に勝るものはないですよね。
写真は、その勝てない部分を利用した
虚像であって、
そこに驚きが生まれるのが
ちょっとした楽しみであります。
いつも、楽しみにしていただいて
ありがとうございます。
人間の目に勝るものはないですよね。
写真は、その勝てない部分を利用した
虚像であって、
そこに驚きが生まれるのが
ちょっとした楽しみであります。
いつも、楽しみにしていただいて
ありがとうございます。
Posted by チャーリー
at 2011年06月28日 23:09
